青森市最北端の四戸橋・後潟・六枚橋を探索
地域調査第2弾は、前回と同じく青森市ということで、最北端に位置する四戸橋(しとばし)・後潟(うしろがた)・六枚橋(ろくまいばし)地区を調査した。
尚、今回は一気に3地区となっているが、これらは後潟の属領のようなものなのであり、かつ街並みも似ているので、まとめてご紹介する(なぜ属領かは後ほど)。
ではまず、3地区の位置を確認しよう。
お気づきだろうか・・・?
そう、この3地区は近隣同士であり、仲良くつながっているのが分かるだろう。
3地区は、青森市中心部から直線距離で北西に14~15キロの場所に位置しており、大分距離的に離れているエリアだ。
また、北海道新幹線、津軽線、国道280号が縦断しており、後潟に後潟駅が置かれている・・・
ではなく、マップを見れば分かるが、後潟駅は後潟ではなく、なぜか六枚橋にあるのが確認できる。
これが、冒頭で"属領"と言った理由だ。
余談だが、同じ青森県内にも、駅名と自治体名(地区名)が一致しない駅はいくつか存在する。
代表的なのが、三戸駅だ。
三戸駅は三戸町(さんのへまち)にあると思われがちだが、実はギリギリ上隣りの南部町(なんぶちょう)にある。
さらに、同じく津軽線の奥内駅も、言ってしまえば奥内地区にあるのではなく、これまた清水地区という、違う地区に鎮座している。
しかも奥内駅の場合、清水と奥内の間に、前田地区という地区も挟んでいるため、2地区分も離れていることになる。
このように、駅名が地区名と一致しないことが多い、何ともガバガバな津軽線であるが、それはさておき。
続いて、人口は以下のとおりである。
・四戸橋:287人
・後潟:653人
・六枚橋:489人
※H29年4月現在
前回の沢山地区が54人だったので、その10倍近くあるが、調査したところ人口は年々減少傾向にあり、減少幅も市内で大きい。
また、人口から見ても後潟がトップであり、続いて六枚橋、四戸橋となっている。
ただ、今回は沢山と違って、地区の面積が比較的小さいため、国道沿いに集結している人口を足していけば、それなりに多いのではないだろうか?
では最初に、六枚橋から調査していこう。
こちらが、国道280号(旧道)から見た六枚橋である。
こうしてみると、意外とこの周辺は住宅街であることが分かる。
津軽線の利用者数が少ないと囁かれているが、国道沿道は結構住宅が立ち並んでおり、車通りもそこそこ多い。
青森側から途中で国道を左折すると、後潟駅に到達。
2009年の旧駅舎取り壊し&無人化に合わせて、現在の新駅舎となっている。
余談だが、個人的に後潟駅のデザインは青森県内でも指折りに入るほど気に入っている。
シンプルながらも、グリーンとホワイトの外壁が良い協調性を醸し出しており、背後の田園風景とも一致しているのが評価ポイントである。
また、天井にはオシャレなお店にありそうな円形の照明もあり、結構凝っている。
駅舎の中は木目調であり、改築から10年が経過しているものの、今だに新築らしい木の良い匂いが漂っていた。
ご丁寧にベンチが3台あり、"駅寝"にちょうどよさそうではあるが。
後潟駅の本数はお察しのとおり。
極端に少ないわけではないが、だからと言って便利というわけでもない。
なお、上り青森方面の朝の時間帯は、通勤通学需要が比較的あるためか、毎時1本を確保しているのが分かるが、それ以外の時間帯はスカスカである。
ちなみに、後潟駅の1日平均利用者数は、2011年現在52人となっている。
周辺人口は約1000人となっているが、後潟駅の利用者数は52人。
皆さんはどう感じるだろうか・・・?
後潟駅のホームがこちら。
以前は交換設備(上下列車の行き違いが可能な設備)があったらしいが、今は1面1線の棒線駅へランクダウンしている。
駅名標は、津軽半島と渡島半島(北海道)をあしらった、津軽線オリジナルのデザインとなっている。
このままだと単純に駅舎訪問になってしまうので、駅紹介はこの辺で。
国道を道なりに進むと、ようやく後潟地区に入る。
後潟駅は六枚橋地区にあるからか、感覚的にはこの辺りすべてが後潟のような印象である。
写真に指が映っているのでアレだが、道端にはでかでかと地名の標識が設置されているので、分かりやすい。
なお、引き続き国道には住宅(たまに商店)が林立しており、このような状態がしばらく続いている。
風景的にもほぼ変化が無いので、どことなく眠気がさしてくるのは事実。
そして道なりに進むと、遂に蓬田村(よもぎたむら)と青森市の境界線まで到達した。
そう、ここは青森市最北端の四戸橋である。
似たような風景がしばらく続いているので、境界線という認識は少し薄いが、遂に地域調査ではじめて青森市外へ進出した。
なお写真を見れば察しがつくかもしれないが、この橋の名前は「四戸橋」と言うそうだ。
つまり、橋の名前が地名に使われているという解釈になる。
さらに境界線は四戸橋川という川で区切られており、
その先は蓬田村のテリトリーとなる。
といっても今回の調査対象は蓬田村ではないのでスルーする。
・・・が、せっかくなので中沢駅も拝見しにいこう。
津軽線に中沢駅(なかさわえき)という駅があるのだが、実はこの駅、青森市と蓬田村のちょうど境界線のど真ん中に位置している。
上がホームで、下が四戸橋川だ。
川と市町村境の上にホームが跨っている、なんともユニークな中沢駅である。
駅舎はないが、1番線には津軽線のどの駅にもあるような待合室が置かれており、2,3番線に至っては待合室が無く、跨線橋の階段に屋根があるので、そこで雨風を凌げるスタイルとなっているようだ。
利用者数が少ないため、ホームも異様に狭い。
通過列車の際は注意が必要だ。
明らかに床が何十年も使っていそうな古い板張りで抜け落ちそうだが、停留所とトイレ(汲み取り式なのはご愛嬌)を兼ね備えた、何とも使い勝手のよい施設である。
なお、後潟停留所と名乗っていながらも、実はこの場所、蓬田村中沢(なかさわ)地区にある。
というのも、丁度よいバスの転回場が無かったためか、境界線を越えて蓬田村の敷地に設置したようである。
したがって青森市営バスでは、ここが唯一の青森市外にあるバス停ということになるだろう。
後潟停留所の本数は、平日10本、土日祝日は9本となっており、津軽線とほとんど変わらない利便性となっている。
ただ、電車とバスの両方を通勤通学の選択肢と考えれば、そこまで低い利便性ではなさそうだ(なお、バスだと中心部まで約44分かかる)。
北海道方面を見ると、向こう側に下北半島がうっすら見えており、ちょっとした風光明媚なスポットだ。
ちなみに陸奥湾沿いには、国道280号とほぼ平行して1車線の道路が青森市油川~蓬田村にかけて続いており、サイクリングであれば比較的長時間、海岸線の走行を楽しめる。
一方南側を向くと、これまたうっすらと青森市中心部が見える(写真はマックスに拡大したので画質が落ちている)。
真ん中にある三角の建物が、あの有名な青森県観光物産館「アスパム」であり、その周りをビル群によって埋め尽くされているのが分かる。
なお、青森市中心部から蓬田村中沢までは、直線距離で約15キロ。
それなりに離れているが、目視でも写真でも街並みの様子が晴れていればくっきり見えるだろう。
一方、国道280号(蓬田蟹田バイパス)の西側一帯は、豊かな田園地帯となっており、奥にはうっすらではあるが北海道新幹線の高架橋が堂々と田んぼの上を跨っているのが見える。
今となっては当たり前の話かもしれないが、昔の人にとって新幹線が北海道まで伸びるというのは、良い意味でとんでもない話であった。
この高架橋が今となっては北海道までつながっているのだから、何か感慨深いところがあるのは気のせいだろうか・・・?
ということで、今回の地域調査はこのあたりでお開きにしよう。
調査日:2019年6月9日(日)